2022年6月25日に乗った八丈航路の記事です。この時までまともに船に乗ったことがなく、ましてや航路での観察は初めてで、とても印象深い思い出となりました。
6月20日頃、同世代の友人2人から「週末は南風予報だから八丈航路に乗るけど来ないか?」という誘いを頂きました。金曜の夜に東京の竹芝客船ターミナルを出て、土曜の午前に八丈島に到着、すぐに折り返して土曜の夜に東京に戻ってくるというダイヤなので、当時金曜の3限までしか授業のなかった私にはギリギリ行ける行程でした。誘いを頂いてから2-3日迷ったのですが、予報は変わらず南風で安定していたため、24日の東京行きの航空券を抑えました。
24日、授業後に山陰を出発し羽田に着くと、初対面の友人が迎えに来てくれていました。都会に慣れていない私を案内してくれて、ゆりかもめで竹芝に向かいました。竹芝に着き、ライトアップされたシンボルマストを眺めたりコンビニで食べ物などを買ったりした後は、待合室でゆっくりしていました。その後、友人の知人である海鳥ウォッチャーの方と、もう1人の友人も来られました。この海鳥ウォッチャーの方は以前からTwitterで存じ上げていたのですが、この時の航路では往復の株主優待券を頂くなど大変よくしていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。また、2ケ月前に大授搦で一瞬だけお会いした水鳥ウォッチャーの方、日本野鳥の会東京の方とも乗船券売り場でお会いできました。
その後2等船室に友人1人と入ると、まさかの水鳥ウォッチャーの方と同じ部屋でした。その時にお話しすると、2ケ月前に大授搦でお会いしたことを覚えていてくださりとても嬉しかったです。
出港後はすぐに甲板に出て、レインボーブリッジの下をくぐるのを友人2人と眺めたり、船内での観察場所を教えてもらったり、船の明かりに照らされるウミネコなどを眺めたりしました。少し経ってシャワーを浴びてからもう一度同室の友人と甲板に出てみると、この時はお酒を飲んでいる人が多く、独特な楽しそうな雰囲気だったのを覚えています。また、思っていたよりも東京湾は広いようで、船の左右に見える陸地には煌々と街明かりが灯っていました。
翌朝、5時前に起きると同室の水鳥ウォッチャーの方は既に船室から出ておられ、焦りつつ友人を起こして右舷側の甲板に出ました。すると、島を背景に肉眼でも見える距離を、朝日に照らされた大量のオオミズナギドリが飛んでいました。4:57撮影。
すぐに三宅島三池港に着岸し、島を眺めたり双眼鏡でカラスバトを探したりしました。
その後三池港を出港しましたが、時化のため御蔵島には寄港せず、八丈島に向かいました。
このあたりから酷い船酔いをしてしまい、甲板の後方にある椅子と杖に突っ伏していたり、床で寝そべったりしていました。そんな中、友人が「カツオドリが出た」と教えてくれたため、なんとか見ることができました。話には聞いていましたが、本当に船の進行方向に向かってすぐ近くを飛んでおり、じっくりと観察できました。6:11撮影。
約1時間半後、カツオドリがまた現れました。この時は狩りも見ることができ、飛び込んで一度着水すると、大きめの魚を咥えていました。海鳥ウォッチャーの方によると1度目に出た個体と同一だったようです。7:48撮影。
カツオドリを見た後は本格的に酔ってしまい、船室に戻りひっくり返っていました。八丈島に着くまでに2.3回復活して甲板に出たような気もしますが、数分で酔って再び船室に戻ったと思います。
八丈島底土港に着くと、友人2人と水鳥ウォッチャーの方が船室に来てくれたため起きました。島に着いてから友人に訊くと、私が酔って船室に戻っている間に、ハシボソミズナギドリ、オナガミズナギドリ淡色型、コシジロウミツバメが出たようです。当時は2種とも未見だったため自分が酔ったことを悔やみました。そしてコシジロウミツバメは未だに見たことがありません。
八丈島は晴れており、独特な植物と相まって南国っぽい景色が広がっていました。そう大きくはない島なのに、八丈富士という綺麗な形の山があったことも印象に残っています。少し歩いていると、道端からアカコッコが飛び出してきました。じっくり観察できるような状況ではありませんでしたが、この時期に街中でツグミ類を見るという経験は初めてで、不思議な感覚になりました。意外と大きく見え、頭が黒いことからもシロハラを想起する見た目でした。その後も少し歩くと遠くの茂みの近くを飛ぶ2羽を友人が見つけてくれたりしました。同じ船で折り返すとなると、八丈島で鳥を見れる時間は1時間もないにも関わらず、ライファーを見れたのは幸運というか嬉しかったです。その他、八丈島で確認できた鳥は、メジロ、ヒヨドリ、モズ、キジバト、スズメ、ハシブトガラス、アマツバメ、ホトトギスでした。9:27撮影。
八丈島を出港すると、約30分後に「オガナギ!」という海鳥ウォッチャーの方の声が甲板に響きました。この時は右舷側で見られたそうなのですが、船首方向を左に飛んでいたそうで、みんなで左舷側に移動し、ここで私もオガサワラミズナギドリを見ることができました。オオミズナギドリしか見たことがなかったため、こんなにも小さく、パタパタと速い羽ばたきを行い、上面が真っ黒、下面が真っ白に見えるものなのかと驚きました。
しばらくするとまた酔ってしまい、数時間は船室に戻って寝ていました。
伊豆大島沖を航行している頃、ようやく私が復活し、波と風も落ち着いたようなので甲板に出てみました。確かこの頃にも、オガサワラミズナギドリorオガサワラヒメミズナギドリ、ウミツバメ類などを他の方々が見つけておられて、甲板に響く声だけを聞いた記憶があります。
何度かハイイロミズナギドリも現れ、意外と近くを飛ぶのを見ることができました。これも初見だったため、全身が黒く、小さくてほっそりとしていて独特なフォルムだと感じました。
しばらくするとクロアシアホウドリが現れました。アホウドリ類も初見で、その大きさと存在感に驚きました。翼に占めるアームの割合がとても大きいのも印象的でした。
最後にカンムリウミスズメが現れ、船の進行方向と逆方向に一直線に通過していきました。陽が当たっていたからだとは思うのですが、そんなに近くを飛んだわけではないのに肉眼で確認できたのも意外でした。この頃には、普段から海鳥を頻繁に観察しておられる友人の1人は甲板でぐったりしておられて、航路で1日中観察すると相当体力を消耗するものなのだなと思いました。
洲崎沖を通過する頃、海鳥ウォッチャーの方は船内に戻られ、しばらくしてから私達も戻りました。その後は船内のレストランでご飯を食べたりしました。友人の1人がもう一度甲板に上がった時は、ハイイロミズナギドリが結構飛んでいたそうです。
何かの影響で通常よりも1時間遅れで竹芝に到着し、ここで海鳥ウォッチャーの方、水鳥ウォッチャーの方、日本野鳥の会東京の方とお別れして、友人2人と浜松町駅に向かいました。途中の駅で1人とお別れし、私がネットカフェに泊まろうとしていたため、友人の1人が品川駅まで着いてきてくれて、ここでその友人ともお別れしました。
その後、品川駅に着いて目的のネットカフェまで30分ほど歩いたのですが、住所付きの身分証を持っていなかったため会員証が作れず、駅まで引き返すことになりました。途中にビジネスホテルがあったためダメ元で寄ってみたのですが、当然予約で埋まっており駅に戻りました。もう他のネットカフェを探す余力もなかったため、帰りの飛行機が出る羽田空港に向かいました。寝るところなど当然ないのですが、仕方がないので空港のベンチで寝ていると、警備員さんに夜は閉まるので出ていくように言われました。そこで、空港の1階にあった交番で、近くで寝られる場所はないか聞いてみたところ、駐車場のエレベーターホールは24時間空いており、ベンチやトイレ、自販機があると教えて頂きました。
行ってみるとその通りで、夜中のため人通りも少なく、なんとか寝られそうな環境でした。機材やカバンなどを全て身の回りに置き、朝が来るまで寝たり起きたりを繰り返していました。それでも意外と体が痛くなったりすることはなく、無事朝を迎えて飛行機で帰り、バイトに出ることができました。
金曜の午後に島根を出て夜に乗船、土曜の夜に下船、日曜の朝に飛行機で帰ってすぐにバイトという強行スケジュールでしたが、同世代の鳥屋と会うことができたり、初見の海鳥を見られたり、様々なトラブルに遭ったりと密度の高い、良い思い出になりました。
6月20日頃、同世代の友人2人から「週末は南風予報だから八丈航路に乗るけど来ないか?」という誘いを頂きました。金曜の夜に東京の竹芝客船ターミナルを出て、土曜の午前に八丈島に到着、すぐに折り返して土曜の夜に東京に戻ってくるというダイヤなので、当時金曜の3限までしか授業のなかった私にはギリギリ行ける行程でした。誘いを頂いてから2-3日迷ったのですが、予報は変わらず南風で安定していたため、24日の東京行きの航空券を抑えました。
24日、授業後に山陰を出発し羽田に着くと、初対面の友人が迎えに来てくれていました。都会に慣れていない私を案内してくれて、ゆりかもめで竹芝に向かいました。竹芝に着き、ライトアップされたシンボルマストを眺めたりコンビニで食べ物などを買ったりした後は、待合室でゆっくりしていました。その後、友人の知人である海鳥ウォッチャーの方と、もう1人の友人も来られました。この海鳥ウォッチャーの方は以前からTwitterで存じ上げていたのですが、この時の航路では往復の株主優待券を頂くなど大変よくしていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。また、2ケ月前に大授搦で一瞬だけお会いした水鳥ウォッチャーの方、日本野鳥の会東京の方とも乗船券売り場でお会いできました。
その後2等船室に友人1人と入ると、まさかの水鳥ウォッチャーの方と同じ部屋でした。その時にお話しすると、2ケ月前に大授搦でお会いしたことを覚えていてくださりとても嬉しかったです。
出港後はすぐに甲板に出て、レインボーブリッジの下をくぐるのを友人2人と眺めたり、船内での観察場所を教えてもらったり、船の明かりに照らされるウミネコなどを眺めたりしました。少し経ってシャワーを浴びてからもう一度同室の友人と甲板に出てみると、この時はお酒を飲んでいる人が多く、独特な楽しそうな雰囲気だったのを覚えています。また、思っていたよりも東京湾は広いようで、船の左右に見える陸地には煌々と街明かりが灯っていました。
翌朝、5時前に起きると同室の水鳥ウォッチャーの方は既に船室から出ておられ、焦りつつ友人を起こして右舷側の甲板に出ました。すると、島を背景に肉眼でも見える距離を、朝日に照らされた大量のオオミズナギドリが飛んでいました。4:57撮影。
すぐに三宅島三池港に着岸し、島を眺めたり双眼鏡でカラスバトを探したりしました。
その後三池港を出港しましたが、時化のため御蔵島には寄港せず、八丈島に向かいました。
このあたりから酷い船酔いをしてしまい、甲板の後方にある椅子と杖に突っ伏していたり、床で寝そべったりしていました。そんな中、友人が「カツオドリが出た」と教えてくれたため、なんとか見ることができました。話には聞いていましたが、本当に船の進行方向に向かってすぐ近くを飛んでおり、じっくりと観察できました。6:11撮影。
約1時間半後、カツオドリがまた現れました。この時は狩りも見ることができ、飛び込んで一度着水すると、大きめの魚を咥えていました。海鳥ウォッチャーの方によると1度目に出た個体と同一だったようです。7:48撮影。
カツオドリを見た後は本格的に酔ってしまい、船室に戻りひっくり返っていました。八丈島に着くまでに2.3回復活して甲板に出たような気もしますが、数分で酔って再び船室に戻ったと思います。
八丈島底土港に着くと、友人2人と水鳥ウォッチャーの方が船室に来てくれたため起きました。島に着いてから友人に訊くと、私が酔って船室に戻っている間に、ハシボソミズナギドリ、オナガミズナギドリ淡色型、コシジロウミツバメが出たようです。当時は2種とも未見だったため自分が酔ったことを悔やみました。そしてコシジロウミツバメは未だに見たことがありません。
八丈島は晴れており、独特な植物と相まって南国っぽい景色が広がっていました。そう大きくはない島なのに、八丈富士という綺麗な形の山があったことも印象に残っています。少し歩いていると、道端からアカコッコが飛び出してきました。じっくり観察できるような状況ではありませんでしたが、この時期に街中でツグミ類を見るという経験は初めてで、不思議な感覚になりました。意外と大きく見え、頭が黒いことからもシロハラを想起する見た目でした。その後も少し歩くと遠くの茂みの近くを飛ぶ2羽を友人が見つけてくれたりしました。同じ船で折り返すとなると、八丈島で鳥を見れる時間は1時間もないにも関わらず、ライファーを見れたのは幸運というか嬉しかったです。その他、八丈島で確認できた鳥は、メジロ、ヒヨドリ、モズ、キジバト、スズメ、ハシブトガラス、アマツバメ、ホトトギスでした。9:27撮影。
八丈島を出港すると、約30分後に「オガナギ!」という海鳥ウォッチャーの方の声が甲板に響きました。この時は右舷側で見られたそうなのですが、船首方向を左に飛んでいたそうで、みんなで左舷側に移動し、ここで私もオガサワラミズナギドリを見ることができました。オオミズナギドリしか見たことがなかったため、こんなにも小さく、パタパタと速い羽ばたきを行い、上面が真っ黒、下面が真っ白に見えるものなのかと驚きました。
しばらくするとまた酔ってしまい、数時間は船室に戻って寝ていました。
伊豆大島沖を航行している頃、ようやく私が復活し、波と風も落ち着いたようなので甲板に出てみました。確かこの頃にも、オガサワラミズナギドリorオガサワラヒメミズナギドリ、ウミツバメ類などを他の方々が見つけておられて、甲板に響く声だけを聞いた記憶があります。
何度かハイイロミズナギドリも現れ、意外と近くを飛ぶのを見ることができました。これも初見だったため、全身が黒く、小さくてほっそりとしていて独特なフォルムだと感じました。
しばらくするとクロアシアホウドリが現れました。アホウドリ類も初見で、その大きさと存在感に驚きました。翼に占めるアームの割合がとても大きいのも印象的でした。
最後にカンムリウミスズメが現れ、船の進行方向と逆方向に一直線に通過していきました。陽が当たっていたからだとは思うのですが、そんなに近くを飛んだわけではないのに肉眼で確認できたのも意外でした。この頃には、普段から海鳥を頻繁に観察しておられる友人の1人は甲板でぐったりしておられて、航路で1日中観察すると相当体力を消耗するものなのだなと思いました。
洲崎沖を通過する頃、海鳥ウォッチャーの方は船内に戻られ、しばらくしてから私達も戻りました。その後は船内のレストランでご飯を食べたりしました。友人の1人がもう一度甲板に上がった時は、ハイイロミズナギドリが結構飛んでいたそうです。
何かの影響で通常よりも1時間遅れで竹芝に到着し、ここで海鳥ウォッチャーの方、水鳥ウォッチャーの方、日本野鳥の会東京の方とお別れして、友人2人と浜松町駅に向かいました。途中の駅で1人とお別れし、私がネットカフェに泊まろうとしていたため、友人の1人が品川駅まで着いてきてくれて、ここでその友人ともお別れしました。
その後、品川駅に着いて目的のネットカフェまで30分ほど歩いたのですが、住所付きの身分証を持っていなかったため会員証が作れず、駅まで引き返すことになりました。途中にビジネスホテルがあったためダメ元で寄ってみたのですが、当然予約で埋まっており駅に戻りました。もう他のネットカフェを探す余力もなかったため、帰りの飛行機が出る羽田空港に向かいました。寝るところなど当然ないのですが、仕方がないので空港のベンチで寝ていると、警備員さんに夜は閉まるので出ていくように言われました。そこで、空港の1階にあった交番で、近くで寝られる場所はないか聞いてみたところ、駐車場のエレベーターホールは24時間空いており、ベンチやトイレ、自販機があると教えて頂きました。
行ってみるとその通りで、夜中のため人通りも少なく、なんとか寝られそうな環境でした。機材やカバンなどを全て身の回りに置き、朝が来るまで寝たり起きたりを繰り返していました。それでも意外と体が痛くなったりすることはなく、無事朝を迎えて飛行機で帰り、バイトに出ることができました。
金曜の午後に島根を出て夜に乗船、土曜の夜に下船、日曜の朝に飛行機で帰ってすぐにバイトという強行スケジュールでしたが、同世代の鳥屋と会うことができたり、初見の海鳥を見られたり、様々なトラブルに遭ったりと密度の高い、良い思い出になりました。