Merlinのブログ

大学生バーダー/好きな鳥はコチョウゲンボウ/吹奏楽

2022年6月25日に乗った八丈航路の記事です。この時までまともに船に乗ったことがなく、ましてや航路での観察は初めてで、とても印象深い思い出となりました。

6月20日頃、同世代の友人2人から「週末は南風予報だから八丈航路に乗るけど来ないか?」という誘いを頂きました。金曜の夜に東京の竹芝客船ターミナルを出て、土曜の午前に八丈島に到着、すぐに折り返して土曜の夜に東京に戻ってくるというダイヤなので、当時金曜の3限までしか授業のなかった私にはギリギリ行ける行程でした。誘いを頂いてから2-3日迷ったのですが、予報は変わらず南風で安定していたため、24日の東京行きの航空券を抑えました。
24日、授業後に山陰を出発し羽田に着くと、初対面の友人が迎えに来てくれていました。都会に慣れていない私を案内してくれて、ゆりかもめで竹芝に向かいました。竹芝に着き、ライトアップされたシンボルマストを眺めたりコンビニで食べ物などを買ったりした後は、待合室でゆっくりしていました。その後、友人の知人である海鳥ウォッチャーの方と、もう1人の友人も来られました。この海鳥ウォッチャーの方は以前からTwitterで存じ上げていたのですが、この時の航路では往復の株主優待券を頂くなど大変よくしていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。また、2ケ月前に大授搦で一瞬だけお会いした水鳥ウォッチャーの方、日本野鳥の会東京の方とも乗船券売り場でお会いできました。
その後2等船室に友人1人と入ると、まさかの水鳥ウォッチャーの方と同じ部屋でした。その時にお話しすると、2ケ月前に大授搦でお会いしたことを覚えていてくださりとても嬉しかったです。
出港後はすぐに甲板に出て、レインボーブリッジの下をくぐるのを友人2人と眺めたり、船内での観察場所を教えてもらったり、船の明かりに照らされるウミネコなどを眺めたりしました。少し経ってシャワーを浴びてからもう一度同室の友人と甲板に出てみると、この時はお酒を飲んでいる人が多く、独特な楽しそうな雰囲気だったのを覚えています。また、思っていたよりも東京湾は広いようで、船の左右に見える陸地には煌々と街明かりが灯っていました。

翌朝、5時前に起きると同室の水鳥ウォッチャーの方は既に船室から出ておられ、焦りつつ友人を起こして右舷側の甲板に出ました。すると、島を背景に肉眼でも見える距離を、朝日に照らされた大量のオオミズナギドリが飛んでいました。4:57撮影。
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すぐに三宅島三池港に着岸し、島を眺めたり双眼鏡でカラスバトを探したりしました。
その後三池港を出港しましたが、時化のため御蔵島には寄港せず、八丈島に向かいました。

このあたりから酷い船酔いをしてしまい、甲板の後方にある椅子と杖に突っ伏していたり、床で寝そべったりしていました。そんな中、友人が「カツオドリが出た」と教えてくれたため、なんとか見ることができました。話には聞いていましたが、本当に船の進行方向に向かってすぐ近くを飛んでおり、じっくりと観察できました。6:11撮影。
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約1時間半後、カツオドリがまた現れました。この時は狩りも見ることができ、飛び込んで一度着水すると、大きめの魚を咥えていました。海鳥ウォッチャーの方によると1度目に出た個体と同一だったようです。7:48撮影。
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カツオドリを見た後は本格的に酔ってしまい、船室に戻りひっくり返っていました。八丈島に着くまでに2.3回復活して甲板に出たような気もしますが、数分で酔って再び船室に戻ったと思います。
八丈島底土港に着くと、友人2人と水鳥ウォッチャーの方が船室に来てくれたため起きました。島に着いてから友人に訊くと、私が酔って船室に戻っている間に、ハシボソミズナギドリ、オナガミズナギドリ淡色型、コシジロウミツバメが出たようです。当時は2種とも未見だったため自分が酔ったことを悔やみました。そしてコシジロウミツバメは未だに見たことがありません。

八丈島は晴れており、独特な植物と相まって南国っぽい景色が広がっていました。そう大きくはない島なのに、八丈富士という綺麗な形の山があったことも印象に残っています。少し歩いていると、道端からアカコッコが飛び出してきました。じっくり観察できるような状況ではありませんでしたが、この時期に街中でツグミ類を見るという経験は初めてで、不思議な感覚になりました。意外と大きく見え、頭が黒いことからもシロハラを想起する見た目でした。その後も少し歩くと遠くの茂みの近くを飛ぶ2羽を友人が見つけてくれたりしました。同じ船で折り返すとなると、八丈島で鳥を見れる時間は1時間もないにも関わらず、ライファーを見れたのは幸運というか嬉しかったです。その他、八丈島で確認できた鳥は、メジロ、ヒヨドリ、モズ、キジバト、スズメ、ハシブトガラス、アマツバメ、ホトトギスでした。9:27撮影。
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八丈島を出港すると、約30分後に「オガナギ!」という海鳥ウォッチャーの方の声が甲板に響きました。この時は右舷側で見られたそうなのですが、船首方向を左に飛んでいたそうで、みんなで左舷側に移動し、ここで私もオガサワラミズナギドリを見ることができました。オオミズナギドリしか見たことがなかったため、こんなにも小さく、パタパタと速い羽ばたきを行い、上面が真っ黒、下面が真っ白に見えるものなのかと驚きました。
しばらくするとまた酔ってしまい、数時間は船室に戻って寝ていました。

伊豆大島沖を航行している頃、ようやく私が復活し、波と風も落ち着いたようなので甲板に出てみました。確かこの頃にも、オガサワラミズナギドリorオガサワラヒメミズナギドリ、ウミツバメ類などを他の方々が見つけておられて、甲板に響く声だけを聞いた記憶があります。
何度かハイイロミズナギドリも現れ、意外と近くを飛ぶのを見ることができました。これも初見だったため、全身が黒く、小さくてほっそりとしていて独特なフォルムだと感じました。
しばらくするとクロアシアホウドリが現れました。アホウドリ類も初見で、その大きさと存在感に驚きました。翼に占めるアームの割合がとても大きいのも印象的でした。
最後にカンムリウミスズメが現れ、船の進行方向と逆方向に一直線に通過していきました。陽が当たっていたからだとは思うのですが、そんなに近くを飛んだわけではないのに肉眼で確認できたのも意外でした。この頃には、普段から海鳥を頻繁に観察しておられる友人の1人は甲板でぐったりしておられて、航路で1日中観察すると相当体力を消耗するものなのだなと思いました。
洲崎沖を通過する頃、海鳥ウォッチャーの方は船内に戻られ、しばらくしてから私達も戻りました。その後は船内のレストランでご飯を食べたりしました。友人の1人がもう一度甲板に上がった時は、ハイイロミズナギドリが結構飛んでいたそうです。

何かの影響で通常よりも1時間遅れで竹芝に到着し、ここで海鳥ウォッチャーの方、水鳥ウォッチャーの方、日本野鳥の会東京の方とお別れして、友人2人と浜松町駅に向かいました。途中の駅で1人とお別れし、私がネットカフェに泊まろうとしていたため、友人の1人が品川駅まで着いてきてくれて、ここでその友人ともお別れしました。
その後、品川駅に着いて目的のネットカフェまで30分ほど歩いたのですが、住所付きの身分証を持っていなかったため会員証が作れず、駅まで引き返すことになりました。途中にビジネスホテルがあったためダメ元で寄ってみたのですが、当然予約で埋まっており駅に戻りました。もう他のネットカフェを探す余力もなかったため、帰りの飛行機が出る羽田空港に向かいました。寝るところなど当然ないのですが、仕方がないので空港のベンチで寝ていると、警備員さんに夜は閉まるので出ていくように言われました。そこで、空港の1階にあった交番で、近くで寝られる場所はないか聞いてみたところ、駐車場のエレベーターホールは24時間空いており、ベンチやトイレ、自販機があると教えて頂きました。
行ってみるとその通りで、夜中のため人通りも少なく、なんとか寝られそうな環境でした。機材やカバンなどを全て身の回りに置き、朝が来るまで寝たり起きたりを繰り返していました。それでも意外と体が痛くなったりすることはなく、無事朝を迎えて飛行機で帰り、バイトに出ることができました。

金曜の午後に島根を出て夜に乗船、土曜の夜に下船、日曜の朝に飛行機で帰ってすぐにバイトという強行スケジュールでしたが、同世代の鳥屋と会うことができたり、初見の海鳥を見られたり、様々なトラブルに遭ったりと密度の高い、良い思い出になりました。

2021年夏の鳥見から更新していませんが、現在までの全ての振り返りをするのは難しそうなので、印象に残った鳥見や遠征などを、気が向いた時に更新していこうと思います。まずは、今年の夏に瀬戸内海西部で行った台風通過時の海鳥観察について書きたいと思います。

2023年8月上旬に遠方から友人が来ており、近場で鳥を見たり観光したりしていました。友人が来てから数日経った8月8日、その後数日に渡って台風が本州に近づく予報が出ていることを知りました。これはこの年の台風6号で、7月28日にフィリピンの東で発生し、8月4日に宮古諸島の北、7日に奄美大島の南東、9日に九州西岸を通過し、11日未明に朝鮮半島で熱帯低気圧に変わりました(気象庁|台風経路図2023年 (jma.go.jp))。当時の予報は、9日の夜から10日の未明をピークとして、9日の午後から10日の午前にかけて九州から四国に強い南風が吹くというものでした。

9日の夕方までその予報を見て2人で話し合った結果、10日に瀬戸内海西部で海鳥を観察することになりました。この時は、オナガミズナギドリ暗色型、セグロアジサシはほぼ確実に、運が良ければクロアジサシ、アナドリ、ヒメクロウミツバメ、カツオドリ類が見られるのではないかと予想していました。友人の運転で9日の21時頃に私の家を出発し、路面電車の街などで少し寄り道をしながら、10日の4時頃に目的地付近の町に到着しました。少しコンビニで休憩した後、近くの漁港に寄ってみましたが数羽のウミネコしかいなかったので、さらっと見て目的地に向かいました。目的地付近は想像以上の悪路で、車の腹に木の枝がつっかえるなどのハプニングもありましたが、6時頃に無事目的地に到着しました。ところが、車から出てみると猛烈な風が吹いており、とてもスコープが覗けるような状況ではありませんでした。仕方ないのでしばらく双眼鏡で海を眺めていましたが、予想に反して何も見えず(あまりの風と波で見えなかっただけかもしれない)、場所を変えることにしました。

車で5分ほど移動して、風当たりが弱く海抜も低い、沖をスコープで見るには良さそうな場所を発見しました。6:50に到着し沖を見てみると、肉眼では見えない距離を多数のオオミズナギドリが飛び交っていました。この時は、沖では20mを超える南風が吹いていたと思われるため(当日の最寄り気象観測地点での平均風速は18.6m/sで風向は南(気象庁|過去の気象データ検索 (jma.go.jp)))、オオミズナギドリが今までに見たことのない高さまでソアリングしていました。海面から2-30mは上がっていたように感じます。追い風で飛んでいる個体は飛ぶスピードも極めて速く、これほどの強風下ではこんな飛び方をするのかと驚きました。多くの個体は風に逆らって東から西へ飛び、外洋に出ようとしているようでしたが、地形的に風が強く吹いていると思われる風上では、風に流されて西から東に飛ぶ個体もおりオオミズナギドリが乱舞しているような状況でした。
そんな光景を目にして、これは期待できると思い観察していると、7:15に自分達のすぐ近くを飛ぶセグロアジサシ幼鳥を友人が発見しました。観察していた場所は山の陰で風が弱くなっていたため、この個体は2-30mの高さをゆっくりヒラヒラと飛んでおり、風に流されるように西から東へ飛去しました。スコープで見るとほぼ全身が黒褐色で、下腹から下尾筒に白色部があるのを確認できました。羽を膨らませていたためかもしれませんが、真下近くから見ると意外と丸っこい体型に見えたのが印象的でした。

いかにも台風通過時らしい鳥の出現に興奮しつつ観察を続けていると、7:26にオオミズナギドリの群れの中を東から西へ飛ぶオナガミズナギドリ暗色型を友人が発見しました。オオミズナギドリと比較して少し小さく全身が黒褐色であること、かなり体が細く華奢に見えること、尾が太く長いことなどが確認でき嬉しかったです。また、一度魚を咥えているところも見られました。着水する様子は確認できませんでしたが、それが見られたのはオオミズナギドリの鳥山の近くだったこともあり採餌していたのだろうと思います。この個体は撮影できないままにロストしました。
7:40、もう一度同じ方向からオナガミズナギドリ暗色型が現れました。この個体は比較的長時間観察できたため、スコープにスマートフォンを押し当てて動画を撮影できました。Youtubeに動画を投稿しましたのでよろしければご覧ください。
2023.8.10 瀬戸内海西部 オナガミズナギドリ暗色型 - YouTube
この動画から切り出した画像がこちらで、左がオナガミズナギドリ暗色型、右がオオミズナギドリです。2羽とも下面が写っています。
スクリーンショット 2023-10-06 181633

続けて同時刻に、セグロアジサシの成鳥と幼鳥が1羽ずつ現れました。この時はオオミズナギドリの群れと同じあたりを飛んでいたため、スコープで発見し、風に逆らって東から西へ飛ぶ様子を観察しました。スコープを25倍にして観察すると、2羽が同じ視界に入るくらいの距離を保ちながら飛んでいました。非常に遠かったため、スコープで観察中に幼鳥は全身が黒っぽいことしか分かりませんでしたが、成鳥は上面と下面のコントラストが非常に美しく、顔に白色部があることも確認でき感動しました。オオミズナギドリと比較すると少し高度の高いところを、風が強いためかヒラヒラと上下しながら飛んでいました。この時の向かい風の条件下ではオオミズナギドリよりも飛ぶのが遅いようでした。このうち1羽は一瞬水面に近づきすぐに飛び上がるような行動も見られたため、採餌していたのかもしれません。
2023.8.10 瀬戸内海西部 セグロアジサシ成鳥と幼鳥 - YouTube
切り出した画像がこちらで、上が成鳥、真ん中が幼鳥、下がオオミズナギドリです。成鳥は翼上面が黒く、顔の下の方から胸にかけて白いことが、幼鳥は顔から胸が黒褐色で腹と翼下面の大部分が白いことが分かります。
スクリーンショット 2023-10-06 205144
こちらは同じ動画から成鳥のみを切り出した画像です。上面が黒色で、顔の眼よりも下のあたりが白いことが分かります。
スクリーンショット 2023-10-06 210153

その後、上の個体とは別と思われるセグロアジサシ成鳥が7:45、7:49、7:53にも現れ、沖を東から西へ飛んでいきました。なお、これらは見られた位置が同じで、風に流されて同じ場所を飛び続けているような様子も見られたため、この3回の出現は同一個体によるものだったと考えています。
8:02にまたセグロアジサシ幼鳥が現れ、同じように沖を東から西へ飛んでいきました。

ここまでは友人と2人で同じ場所から観察していましたが、8:00頃に友人は元々の目的地だった場所に戻り、数キロ離れた場所から沖を眺めることになりました。

8:03にはオナガミズナギドリ暗色型が東から西へ飛んでいきました。
2023.8.10 瀬戸内海西部 オナガミズナギドリ暗色型 - YouTube
切り出し画像はこちらで、上がオナガミズナギドリ暗色型、下2羽がオオミズナギドリです。オオミズナギドリの方が遠くを飛んでいるため小さく写っており、3羽とも下面に光が当たっています。またこの動画は、当日に撮影したものの中で波しぶきが最も多く映っています(笑)。最寄り気象観測地点でも、この日のうち8:00に最も風が強かったようです。
スクリーンショット 2023-10-07 202758
8:28から雨が降り始めたため、8:30頃まで雨宿りしていました。

8:41、オナガミズナギドリ暗色型が東から西へ飛んでいきました。
2023.8.10 瀬戸内海西部 オナガミズナギドリ暗色型 - YouTube
切り出し画像はこちらです。オオミズナギドリよりも全体に暗色なため、引き締まって見えているのかもしれませんが、体だけでなく翼(特にハンド)も細く見える時がありました。
スクリーンショット 2023-10-07 220033
8:45頃から10:14まで雨宿りしました。

10:18、すぐ近くを大きな鳥が飛ぶのを肉眼で発見し、スコープで確かめるとカツオドリ成鳥でした。この時もかなりの風が吹いていたと思いますが、あまり風に流されているようには見えず、力強い羽ばたきと滑空を交えて飛んでいるようでした。
2023.8.10 瀬戸内海西部 カツオドリ成鳥 - YouTube
切り出し画像はこちらです。左に写っているのは木で、この山の陰に隠れて見えなくなりました。
スクリーンショット 2023-10-07 234638
10:24から10:38まで雨宿りしました。

10:39、オナガミズナギドリ暗色型が東から西へ飛んでいきました。この時には風のピークが過ぎて波しぶきも減っており、心なしかミズナギドリ類も飛びやすそうに見えました。この個体はおそらく最も近くを飛んだ個体で、動画も比較的鮮明に撮影できました。
2023.8.10 瀬戸内海西部 オナガミズナギドリ暗色型 - YouTube
切り出し画像はこちらです。下面が写っています。
スクリーンショット 2023-10-08 000724
同じ動画から上面です。
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同じ動画から目線よりも上を飛んでいる時のもので、左がオナガミズナギドリ暗色型、右がウミネコ成鳥です。やはりオナガミズナギドリはオオミズナギドリよりも体と翼が細く感じます。また、動画内でこの個体は空が背景になってから高さを変えずにしばらく飛んでいますが、ミズナギドリ類がこのような飛び方をするのは初めて観察しました。この日はオオミズナギドリもオナガミズナギドリも、向かい風でこのような飛び方をしている個体がしばしば見られました。
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11:06から11:09まで雨宿りしました。

その後は、11:18、11:45にオナガミズナギドリ暗色型が東から西へ飛んでいきました。
11:51から11:57まで雨宿りしました。

観察を再開した直後の11:58、海面ギリギリを東から西へ滑るように飛ぶアナドリを発見しました。一瞬で波間に隠れた上にすぐに山の陰に入ったと思われるため、数秒しか観察できませんでしたが、小さめのミズナギドリ目の鳥も見ることができ嬉しかったです。この個体は上面しかはっきりと見られませんでしたが、ハシボソミズナギドリやハイイロミズナギドリより小さいもののウミツバメ類よりは体が大きく見えること、尾は太く長く切れ込みがないように見えること、翼は幅があり長く見えること、翼上面にフラッシュがないことを確認できました。見た直後は同定に自信がありませんでしたが、その後本種の動画を見たり、この1週間後に乗った小笠原航路で本種を数百羽観察したりしたことによって、やはり本個体はアナドリで間違いなかったのだろうと思うようになりました。
同時刻にオナガミズナギドリ暗色型も現れ、東から西へ飛んでいきました。

その後は12:40にオナガミズナギドリ暗色型が東から西へ飛んでいくのを見て、12:45に観察を終了しました。

雨で観察を中断していた時間もありますが、6:50から12:45の間に見た海鳥の種と羽数は以下の通りです。
オオミズナギドリ10000±
オナガミズナギドリ暗色型9
セグロアジサシ成鳥2 幼鳥3 カツオドリ成鳥1
アナドリ1

観察終了後は友人と合流し町まで戻ってネットカフェで宿泊し、翌日はところどころで観光しつつ帰路につきました。

車を出し長距離を運転してくれた友人には感謝しかありません。海鳥は満足に見ることができましたし、友人と遠出するということ自体がとても楽しく、今でも様々な情景が目に浮かびます。またいつかこんな遠出をしたいものです。

何だか胸の奥がざわつく
南風~!

先日2021年の春の鳥見の記事を書いたので、続きの夏から秋の渡りにかけての記事を書こうと思います。
この年は6月中旬に大学付近の山でミヤマホオジロが囀っているのを見つけ、それから繁殖を確認しようと連日通っていました。そして7月上旬に大雨で土砂崩れがあり、その後繁殖期が終わるまで山に入れなくなってしまったので、雛や巣は確認できずに終わりました。それでも、山に通う中で、近年まともに見ていなかった繁殖期のヒタキ類やツグミ類を観察したり、写真は撮れませんでしたがシロハラを確認したりと面白いシーズンでした。
6月18日 ミヤマホオジロ雄
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6月22日 ミヤマホオジロ雌
この日は雌が餌を咥えた状態で林道沿いで時折鳴いており、雄も近くの木に止まっていました。間違いなく付近に雛がいると思い、10分ほど探したのですが見つけられず、これ以上探しても繁殖の妨げになるだけと判断し撤退しました。この場所ではまだ繁殖が確認されていないため、非常に残念でした。
また、この日はすぐ近くでキマユムシクイの囀りも聞こえており、こちらも探しましたが姿を見ることはできませんでした。録音はできたのでなんとか記録に残せたのが救いでした。
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ミヤマホオジロ雄
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6月26日
ミヤマホオジロ雄
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7月6日
ゴイサギ2暦年目
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7月7日
イソヒヨドリ推定雄幼鳥
この日は実家の敷地内にイソヒヨドリの巣立ち雛が入っていました。飛べないのに実家の壁に垂直に止まることができるという、不思議な個体でした(笑)。
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雨覆の羽縁が明瞭に青くなっていることから、雄だろうと考えています。
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風切や尾羽の羽縁も青くなっています。
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7月15日 ツバメとゴイサギ
MFのツバメの塒です。
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カルガモ
おそらく家族群ですが、幼鳥も成鳥とほぼ同じサイズになっていました。
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7月16日
アトリ雄2暦年目
少し前に山の中で見た個体をもう一度探しに行きました。
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暗いですが、内側大雨覆が新羽、外側大雨覆や初列雨覆、風切が旧羽でモルトコントラストがあり、摩耗しており幼羽に見えたため、2暦年目と考えています。
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7月18日
ズグロカモメ成鳥
河口にウミネコの群れが水浴びしに来ており、その中にズグロカモメが混ざっていました。常に単独で飛んだり休息したりしていましたが、この時期に本種を見たのは初めてで驚きました。
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アジサシ成鳥
ウミネコの群れの近くを飛んでいる鳥を発見し、双眼鏡で見るとアジサシでした。実はこの時が初見でしたが、普段見る機会の多いヌマアジサシ類よりも大きく飛び方もゆったりとしており、尾羽や翼が長く見えるのが非常に印象的でした。スレンダーな美しい鳥でした。
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コチドリ幼鳥
この休耕田には成鳥幼鳥合わせて10羽以上のコチドリが集まっていました。
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8月9日
コアジサシ成鳥
この日は雨風の強い荒れた日で、普段はいない河口までコアジサシが入ってきていました。
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キアシシギ成鳥
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8月10日
夕方、大学近くの農耕地の一角に、コムクドリ50羽前後の群れが集まっていました。幼鳥も含まれていましたが、県内での繁殖例は近年なく、どこで繁殖したものなのか分かりません。この後ムクドリの塒がある駅の方向に飛んでいったので、ムクドリと一緒に塒を取ったのではないかと思っています。
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幼鳥
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8月13日 ミユビシギ成鳥
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シロチドリ雛
チドリの雛を見るのはこの時が初めてでしたが、この時期に雛がいるのは割と遅めの繁殖なのではと思います。
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オオメダイチドリ幼鳥
波打ち際から50mほど陸側に入ったところで、オオメダイチドリを見つけました。この時が初見でしたが、脚と嘴が長くかっこいい鳥でした。また2羽ともピカピカの幼羽が非常に美しい個体でした。
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8月14日 タシギ成鳥
これは当日はオオジシギ成鳥と誤認していた個体です。
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ヒバリシギ成鳥
上のタシギがいたのと同じ場所ですが、このあたり一帯にはこの年は広い休耕田が広がっており、シギチの良い採餌・休息場所となっていました。中でも特に嬉しかったのがヒバリシギ成鳥です。本種の成鳥を見たのはこの時だけで、摩耗が進んで黒っぽくなった羽衣が印象的でした。
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後ろはタカブシギ幼鳥
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コチドリ幼鳥
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セイタカシギ雌成鳥
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オオジシギ幼鳥
休耕田の畔の上にはオオジシギの幼鳥が数羽降りていました。
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左はタカブシギ
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タカブシギ
飛んでいる個体は背や尾羽の摩耗がなく、風切のモルトコントラストがないため幼鳥です。
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先ほどのヒバリシギ成鳥
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タカブシギ幼鳥
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コアオアシシギ成鳥 手前と後ろはタカブシギ
本種も秋の渡りでは幼鳥しか見たことがなかったため、夏羽後期の成鳥を見られたのは嬉しかったです。先ほどのヒバリシギに比べて冬羽への換羽が進んでおり、擦れた黒っぽい羽よりも新羽の白っぽい羽が目立っていました。
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タカブシギ成鳥
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先ほどのヒバリシギ成鳥
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手前と後ろはタカブシギ
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先ほどのコアオアシシギ成鳥
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タカブシギ成鳥
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タカブシギ
羽ばたいている個体ですが、初列風切外側3枚が内側の羽よりも新しく、2暦年目の個体です。普段はシギチの翼まで確認していないため、秋はその年生まれの個体以外を成鳥としていますが、たまたま翼を撮影できたのが若い個体で幸運でした。シギチの確実な2暦年目の個体はこの時しか見たことがありません。
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8月17日 左端はエリマキシギ雌幼鳥、右3羽はオオジシギ
車内からこの飛ぶ群れを見て1羽だけジシギよりも小さく細い個体がいて焦りましたが、画像を確認するとエリマキシギの幼鳥でした。エリマキシギはもう少し大きいイメージを持っていましたが、周りにいるオオジシギは普段見ているタシギよりも大きいのと、この個体が雌だったためサイズの差が際立ったんだろうと思います。
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右端はエリマキシギ雌幼鳥、左4羽はオオジシギ
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オオジシギ幼鳥
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セイタカシギ
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ミユビシギ成鳥
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オバシギ幼鳥
見つけた時に死角にいて飛ばしてしまったに見えた尾羽の模様が印象的でした。
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ミユビシギ、右から2番目はシロチドリ
ミユビシギは全て成鳥ですが、多くの個体が内側初列風切を換羽中で脱落させている個体もいました。
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8月18日
オオジシギ幼鳥
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タカブシギ
この場所は今はもう圃場整備されたため、以前の水田よりも大区画化し休耕田もなくなってしまいましたが、この年は本当に良い場所でした。この年は圃場整備の工事のために耕作が行われなかったようなので、シギチがいる隣の田んぼに重機が置かれているような状況でした。いずれ環境が変わることも分かっていましたが、この湿地が保全されてほしいと願わずにはいられませんでした。2022年の秋も水田の畔や刈り取りが早く終わった水田にシギチの姿は見られましたが、周りは刈り取りの真っ最中ですし水位の変動もあり、この場所のような安定した湿地はありませんでした。今後も秋に偶発的に現れる休耕田や湿地環境でシギチの観察を続けていきたいと思っています。
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